ルール・レフリング
2021年6月8日
こんばんは
先週末は、スーパーラグビートランスタスマンも4ラウンド。
全勝の3チームがボーナスポイントでファイナルに進む2チームになれるか、という様相になってきました。
今週もいくつか興味あるハイインパクトなディシジョンがありました。
クルセイダース 対 フォース
前半最後 40分59秒のTMO → 腕からはボールは離れていませんが、ノックオンの判定でした。
後半 50分02秒のTMO →フォースがタッチに出そうなボールをインフィールドに戻し、パス。キャッチミスからそのままクルセイダースがトライ。TMOでインフィールドに戻せていたか確認したところ、タッチラインに足がかかっており、トライはキャンセルされ、クルセイダースボールラインアウト。
60分22秒はキックの落下地点から10m下がらないプレーヤーがオフサイドの反則を取られた場面。競技規則の明確化(ルーリング2021−2)そのものでした。
レッズ 対 ブルーズ
後半 48分18秒 TMOで確認して、ボールは後ろに出て、前に転がったとしてノックオンではなく、トライが認められた場面。
78分40秒 リフトタックルの反則
ハイランダーズ 対 ワラタス
前半 2分10秒 いきなりのトライでしたが、TMO。デコイで走ったプレーヤーがオブストラクションしている可能性ありでしたが、そのままトライが認められました。
チーフス 対 レベルズ
前半 8分40秒 こちらはトライの後でTMOでオブストラクションになった事象です。
ブランビーズ 対 ハリケーンズ
前半 23分36秒 頭部へのタックルでしたが、タックルされたプレーヤーがパスを放った後、明確に沈んだのでイエローカードで済みました。
さて、最後にブランビーズ対ハリケーンズの後半73分29秒のトライ場面でのTMOによるトライキャンセル。
違和感ある方、おられますか?
違和感があれば、TMOの素質ありです(笑)
2021年6月3日
こんばんは
今日は長い1日でした。
ワールドラグビーのLRG(Law Review Group) メンバーとしてのミーティングが、Zoomで行われました。
対面のミーティングは2019年の6月に1回(イングランド)、2020年3月に1回(パリ)で、それ以降はZoomでの開催になってしまいました。
世界の各所(ヨーロッパ、南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、アルゼンチン、フィジー)から参加するので、日本時間は朝の5時開始。
スーパーラグビーや各国で行われている試験的競技規則から、グローバルで行う試験的競技規則を、話し合いと投票しながら決めていきました。結果をもとにワールドラグビーのハイパフォーマンス委員会で討議され、6月半ばに行われる理事会での承認を経て、ワールドラグビーから発表されます。
発表に向けて、資料作りに入ります。
その後、10時からは韓国協会の崔会長とのミーティングでした。
大阪朝鮮高級学校の監督でNTTドコモレッドハリケーンズにもおられた呉先生が、崔会長のブレーンをされておられ、会長自らレフリー委員長を兼任してマッチオフィシャル改革に取り組まれておることから、そのアドバイスを求められています。会長さんも日本語を喋られるので、日本語でのミーティングです。
今日は日本の技術部門MOの、レヴューイング、セレクター、コーチングなどについて意見をしました。
明日からスーパーラグビートランスタスマン、4ラウンドですね。
2021年6月2日
こんばんは
トップリーグも終わり、今日から6月ですね。
「シーズンオフ」、と言いたいところですが、レフリーマネージャーとしてのお仕事はまだまだ続きます。
トップリーグのマッチオフィシャルのラップアップミーティングを、当初はファイナルの次の週末に当たる6月29日に予定していましたが、緊急事態宣言が大阪に出されて延期。
6月19日の予定でしたが、先週、緊急事態宣言の再延長で集合研修は断念。
Zoomでのミーティングとなりました。
ラップアップミーティングの次の日に、次シーズンのパネルレフリー(A級)をセレクションするキャンプを開始する予定でしたが、同様に6月27日まで延期。
なかなかシーズン終了、スタートを切ることができていません。
6月2日(日本時間では3日の早朝)には、ワールドラグビーのLaw Review Group Meetingが開催され、2023フランスワールドカップに向けて、Global Law Trialの内容が決定します。
2022年シーズンには競技規則を確定するために、2021年シーズンは世界的な試験的実施競技規則です。
詳細は、また。
2019年10月9日
こんにちは
一夏、投稿無しに過ごしていました。すみません。
ワールドカップもひと段落、日本のスコットランド戦勝利待ちか、台風の上陸待ちか、ですね。
幾人かの方から、ワールドカップでの判定についてご質問をいただいていましたが、そろそろブログ再開と思っていた時に、とても難しく知りたい方もおられる話題なので、南アフリカ対イタリアのアンコンテストスクラムについて書こうと思います。
経過は、
前半 1分59秒 イタリアの1番が負傷交代で18番に
前半18分19秒 イタリア18番がHIA(ヘッド・インジュアリー・アセスメント)で退出、替わりに17番が入る。ここから10分間はコンテストスクラムを組む事ができないため(タイトヘッドプロップがいないため)、スクラムになればアンコンテストスクラムになるが、15人対15人で試合を継続する事を、レフリーのウェイン・バーンズが説明。
前半20分39秒 イタリアボールのアンコンテストスクラム
イタリア18番はHIAをパスしなかったため、試合に戻れず、17番は正式の負傷交代となる。15人対15人でアンコンテストスクラムで継続。
後半42分33秒 TMOで危険なプレーを確認、イタリア1番が南アフリカのボールキャリアーの脚を持ち上げたリフトタックルによりレッドカード(退場)となる。ここから15人対14人で試合を継続。
後半56分09秒 レッドカード後初めてのスクラムとなったので、ピッチ内のフロントローを3名にするために、ベンチにいる16番が出てくる。16番を入れるためにイタリア13番はピッチから去る。15人対14人で試合を再開、ただしスクラムは8人対8人で組む。
となっていました。競技規則の適用としては、
HIAでフロントローが退場し、アンコンテストスクラムになった場合は、アンコンテストスクラムの原因を作ったこととはされないので、替わりのプレーヤーを入れ、15人で試合を再開できます。ただし、フロントローのプレーヤーがベンチにいれば、その中からピッチに入れる(戻す、一度戦術的入れ替えで出たプレーヤーでも構いません)ことになります。
HIAにパスせず、戻ってこれなくなって負傷交代となっても、HIAの場合には責任が発生しません。従ってそのまま15人で試合を継続できます。
フロントローがレッドカード・退場になり、いなくなった場合には、14人で試合を再開します。次のスクラム時に、ピッチ内のフロントローを3名にできるなら(ベンチに負傷していないフロントローがいれば)、ピッチに入れ(戻し)、替わりに1名退出させます。14人で再開させるためです。
いかがですか?
難しいですが、試合での対処・対応は正しかったということです。
2018年5月20日
こんばんは
香港から無事に戻り、通常業務に戻っております。
早速、今節のゲームをチェック。
ワラタスとハイランダーズの試合は、レッドカードが出る試合で、オーストラリアチームがニュージーランドのチームに快勝。
TMOの場面が多くあり、とても良い教材なので、ぜひ。
9分32秒 トライ場面 オンフィールドディシジョンはトライ、フォワードパスのチェック
17分17秒 ファールプレー場面 空中での競り合いで足が相手の顔に当たっていないかのチェック
20分24秒 ファールプレー場面 デリバレイト・ノックオンの可能性をチェック
23分29秒 トライ場面 オンフィールドディシジョンはトライ、タッチに出ていたかのチェック
40分43秒 トライ場面 オンフィールドディシジョンはノートライ、グラウンディングがなかったかのチェック
48分48秒 ファールプレー場面 デリバレイト・ノックオンの可能性のチェック
57分30秒 TMOからトライ前の確認場面 モールのオブストラクションのチェック
60分57秒 TMOからトライ前の確認場面 グラウンディング前に落としていないかのチェック
2018年2月25日
おはようございます。
先週開幕したスーパーラグビーが、今週日本でも開幕しましたね。
サンウルブズの初戦は、最後に勝ち点を取って終わることができましたが、日本人プレーヤーが少ないのが、代表強化につながるのが少し気がかりです。
TMOにかけた2事象については、
【1つ目;オンフィールドディシジョンはトライ、グラウンディングの前に足がタッチに出ていないか?】
TMOの藤さんは、足がタッチに出たか確認中に、「ノックオンじゃない?」と気がついて、再度リプレーを確認。レフリーに告げましたが、レフリーはノックオンのことを気がついておらず、もう一度ノックオンの場面をスクリーンに映して、判定が確定。レフリーから「グッド・ディシジョン!!」とハーフタイムに声をかけてもらっていました。
【2つ目;オンフィールドディシジョンはトライ、その前のパスがクリアー&オブビアスなスローフォワードでないかの確認】
レフリーから、「オブビアスなものか?」と質問中に確認があり、リプレーからは明らかな前方ではないので、トライを認める判定。日本のファンからすると残念判定ですが、TMOとしては覆すことができる事象ではありませんでした。
来週も秩父宮です。
今週は、シックスネイションズが3試合、スーパーラグビーが7試合なので、週の初めはラグビー三昧です。
水曜日は、Rugby’sのミーティングの予定です。
2018年1回目のミーティングになります。
新規に参加したい方は、haradatokyusinpan@gmail.comまでお問い合わせください。
2018年2月5日
おはようございます。
寝不足の月曜日です。
先週末からシックスネイションズが開幕しました。
J-Sportsでは観れず、WOWOWとの契約が必要ですね。
3試合ともライブで観戦(分析)、眠たいです。(笑)
今週は、
パスカルがWales-Scotland、ナイジェルがFrance-Ireland、マティユーがItaly-Englandでしたね。
試合結果は触れませんが、ライブで観といてよかった!という感想の試合がありました。
結果を知らないで観た方がドキドキする試合がありますよ。
先日のハイパフォーマンスグループミーティングで、「経過観察」としている部分について注目して観ています。
「タックル対モール」
防御側(競技規則の用語ではなく、タックルする側・ボールを保持していない側)がボールキャリアーを倒さないようにしてモールアンプレアブルでターンオーバーを狙った場面では、しばしば、モールが成立なのか、まだタックルと処理するのかで、防御側のロールアウェーが変わります。
先週末の3試合では、
W-S 22分27秒(モールアンプレアブル)、57分02秒(モールは崩れ、インゴールに届いていないため、相手ボールの5mスクラムで再開)、76分51秒(タックル)
F-I 20分02秒
I-E 33分32秒(モールだったが、ボールキャリアーと相手プレーヤーがちぎれたのでタックル)、55分15秒(モールとレフリーは言ったが、ボールが見えているのでプレーを続けさせた)
感想を教えてください。